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平成15年4月
正しい処置をしなかったために消えなくなった警告灯

 メーターパネル内の、赤いマークのランプが消えないという'97年式のBMW318ti(E-CG19、エンジン型式194S、走行6万km)の不具合事例を紹介する。
 オーナーズ・マニュアルのページをめくってみると、マークはディスクブレーキ・パッドの摩耗を知らせるランプである事が判った。
 さっそくタイヤを外して点検してみると、パッドの残厚は10mm近くあり、とても摩耗を警告しなければならない状態ではない。
 これまでの整備の経緯を調べたところ、数ヵ月前にディスク・パッドを交換した記録が残っていた。
 周知のように、BMW車には電気式のディスクパッド摩耗警告装置が取り付けられており、そのシステムは図1のような回路になっている。
 前輪は左に、後輪は右側にそれぞれのセンサを直列に設置して、どちらかのディスク・パッドが限度以下まで摩耗してくると、センサ回路が切断される仕組である。
 それぞれのセンサのカプラを外して導通を調べたところ、前輪側のセンサが断線している事が判明した。
 センサの代りにジャンパー線を接続すると警告灯が消灯するので、まちがいなく前輪側のセンサ不良と診断できる。
 ディスク・パッドを取り外してみると、なんとセンサはすり減った物が取り付けられていた。(図2)
 おそらく、前回のディスク・パッド交換作業の際、パッドだけ発注してセンサはそのまま以前の物を組み付けたものと想像する。
 ユーザーは警告灯が点灯したから、整備工場に持ち込んだ訳なのに、ディスク・パッドだけ交換して、警告灯は消えないままユーザーに車を納めてしまった事になる。
 国産車のように、限度以下まで摩耗すると、金属片がローターに接触して、その音によって警告する方式であれば、ディスク・パッドを交換するだけでよいが、電気的に警告する方式のものは、センサまで交換してやらないと、警告灯は消えないのである。
 医者も患者に対して、診察や治療方法について事前に説明をおこなう、「インフォームド・コンセント」というものがあるように、車の整備においても同じように、概算見積りや納車説明の責任がある訳なので、これらをしっかりと実践していく事が、ユーザーの信頼を得ると共に、固定客を増やす要素になるのではないだろうか。
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