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2006年8月
エアコンが効かない原因は噴射ポンプ
 「ブロア・ファンは回るが、コンプレッサーが作動しない」ということで当会に整備依頼が入った。車輌は、平成4年7月登録のカローラバン(S−CE106V、エンジン型式2C、走行距離11万7千氏jである。
  故障診断を行うにあたり、まず、コンプレッサー・リレーを強制的にONさせてみたところコンプレッサーが作動したことから、何らかの理由でマグネット・クラッチ・リレーがOFF状態になっていると推測し、作業に入った。
  大まかなシステムは図1のようになっており、まずはA端子の電圧を測定してみたが12Vと正常であった。A端子をグランドさせればコンプレッサーが作動することから、エアコン・アンプ内のAND回路が成立していないためにコンプレッサーが作動していないと思われる。
  AND回路の成立条件(詳細は後述)は、1.エバポレータ温度、2.冷媒温度、3.冷却水温、4.エンジン回転、5.コンプレッサー回転の5つから成っており、いずれか一つでも成立しない場合はマグネット・クラッチ・リレーがONしないため、これらの回路を点検してみることにした。
  その結果、4.エンジン回転信号が入力されていなかった。
  そこで、エンジン回転センサーが取り付けられているはずの噴射ポンプを確認すると、付いているはずのピックアップ・コイル式センサーがない。噴射ポンプ直前のカプラまでの配線は3本線なのだが、カプラ以降の噴射ポンプ側の配線は1本しかなかったのである。(図2参照)
  実はこのカローラバン、パワーステアリング(以後、P/Sと表記)付きとP/Sなしでは噴射ポンプが異なり、P/Sなしの車両は噴射ポンプにエンジン回転センサーが付いていないのである。
  というのも、P/S付きではクランク・プーリーはP/Sとコンプレッサーを同一のベルトで駆動しているため、コンプレッサーがロックしたときにマグネット・クラッチをOFFしないとP/Sのオイル・ポンプ駆動ができなくなり、操縦性が低下してしまうが、P/Sなしの場合はクランク・プーリーはコンプレッサーのみの駆動でよいため、エンジン回転センサーとコンプレッサーの回転を比較する必要がない。(図3参照)
  過去に噴射ポンプを中古品と交換したときに、P/Sが装着されていない車のものを取り付けたのがそもそもの原因だったのである。
  回転センサー付きの噴射ポンプに取り替えてエアコンを作動させたところ、コンプレッサーも正常に作動するようになった。(図4参照)
  機械的形状が同じであれば互換性があると考えるのは早計であり、電気的互換性も確認してから部品交換をしないと、自分で掘った落とし穴にはまってしまう事例であった。《技術相談窓口》
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