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2012年2月
ISC バルブの簡易点検要領

アイドリング回転が低く、エアコンなどの負荷がかかるとエンストしそうになるという、2002年式のトヨタ・イプサム(TAACM21、エンジン型式2AZ)の事例を紹介する。

スキャン・ツールを接続してECU のパラメータをデータモニタしてみると、冷却水温度やアイドルスイッチの信号が正常であるにもかかわらず、エンジンの回転は500rpm 以下まで下がっている。

この時のISC 開度は75%を超える値になっていた。

このエンジンに装着されているISC は、ロータリー・ソレノイド式のアクチェータで、図1に示すように非通電時には機械的中立位置を保つ構造になっているので、コネクタを外すとその位置の開度に相当するエンジン回転になるのが通常であるが、前述したように電気的にエンジン回転を上げようとしているのに、まったく上がらないという事は機械的に固着していると考えられる。

スロットル・チャンバの横に取り付けられているアクチェータを、ドライバーの柄の部分で叩いてやると、アイドル回転が正常になった。

やはり予想した通り、アクチェータ内部が固着しているようである。

取り外してバイパスエアの通路を点検すると、バルブ部分に大量のスラッジ類がこびり付いていた。

これが、わずかな隙間を保って移動するロータリーバルブの動きを妨げていたものである。

この事が理解できれば、今後同じような方式のアクチェータ(3本端子)を用いた車であれば、取り外す前に叩いてみることである。

今回の不具合現象の場合は、図2にあるようにメーカーの保証延長処置の対象範囲の車ではあるものの、2002年登録から9年を超過しているので無償の修理はできないとのディーラーの回答であった。

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仕方ないので、汚れがこびり付いた部分をきれいに洗浄して組み付けると、アイドリングが安定して、負荷を加えても補正してくれるようになった。

この場合、今までの開度で規定のアイドリング回転を維持するようにECU が学習値を持っているので、しばらくはアイドリング回転がこれまでより高く保たれる。

このままの状態で乗り続ければ自然に再学習するが、どうしても早く規定の回転に戻したい場合は、ECU のバックアップ電源を落としてやればよい。

吸気系に汚れが無い場合のISC の開度は、30%前後に落ち着くのが一般的である。

この数日後には、2001年式のクルーガーV(TA-ACU20W、エンジン型式2AZ)が同様の不具合で入庫してきたが、これも保証延長の期間を超えているためアクチェータの清掃で対処した。

整備工場に毎月お届けしている『技術情報』には、リコール以外の保証延長や作業する際の具体的な注意点などの有益な情報が記載されているので、「オアシスOITA」共々お目通し願いたい。

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