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2015年12月
効かなくなったアイドリング・ストップ

新車を購入して3年を過ぎた、平成24年式のホンダN-BOX(DBA-JF1、エンジン型式S07C、走行距離9万km)の、アイドリング・ストップに関する事例を紹介する。

今年の9月に専業工場で初回車検を受けて、それから少し経ってからいつもと同じように走行しても、アイドリング・ストップしなくなったという訴えである。

MILエンジン警告灯が点灯することはないものの、図1に示すオレンジ色のランプが点灯していた。これは、アイドリング・ストップ機能が正常に機能していない事を促すものである。

MILは点灯していないが、DTC(ダイアグ・トラブル・コード)が残っていないかどうかを調べてみるも、異常は検出されていなかった。

スキャンツールをデータモニター画面に切り替えて、制御の様子を点検したところ、アイドリング・ストップを禁止する条件のうちのひとつが、「禁止」状態になっていた。それは、「バッテリー」であった。

周知のように、アイドリング・ストップ付きの車には、それ専用のバッテリーが搭載されており、ECUはクランキングの回数や放電電流などの数値を記憶し、それらが上限値に達すると、アイドリング・ストップを停止するプログラムが組み込まれている。

バッテリーは新車時のままなので、そろそろ交換時期を迎えていると考えられる。

バッテリーテスターで調べてみると、 図2に示すような結果であり、これから判断するとまだ充分に使えそうな数値である。

しかし、スキャンツールで更に詳しく調べると、バッテリーの内部抵抗が8.2mΩであった。

この数値が良いのか悪いのかは、基準値を知らないかぎり判断ができない。

メーカーの見解によると、7mΩ以下が正常値で8mΩを超えると、アイドリング・ストップ禁止条件が成立するとのことである。

今回のバッテリーは8.2mΩなので、完全にアウトである。

処置としては、バッテリーをアイドリング・ストップ専用の「M-42」に交換したのちに、ECUが記憶しているバッ テリー放電電流積算値をクリアーしてやらなければならず、それをしないとアイドリング・ストップは正常に機能してく れない。

そのためには、それらに対応するスキャンツールが必要なのは、言うまでもない。

《技術相談窓口》


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