警告灯がいくつか点き、加速不良を起こすという、平成28年式デミオ(車両型式DBA-DJ5FS、エンジン型式S5、走行距離168,300q)のトラブル事例を紹介する。
ユーザーの話では、エンジン警告灯、横滑り警告灯、衝突軽減ブレーキ警告灯が点いて、加速をしようとアクセルを踏むとガクガクとなってエンジンが吹けなくなるとのこと。
自己診断は『P2263:00 ターボチャージャ・ソレノイド・バルブ制御系統:制御異常』『U0442:00 CAN通信系統:PCMから異常データ受信』『U0401:00 PCMからの異常信号』を表示している。
P2263:00以外はエンジン系に不具合があった時に同時に検出する、いわゆる「供連れ」のコードなので、主となる原因は『P2263:00』と思われる。
試乗をすると、ユーザーの話のとおり、アクセルを踏んで加速しようとするとガクガクとなってエンジンの吹けが悪くなる。
アイドリングの調子は良い。
依頼があった工場では、P2263:00の故障診断手順のターボチャージャ・ソレノイド・バルブ、チェックバルブ、負圧配管の点検はしており、全て正常とのことだった。
P2263:00の検出条件だが、ターボチャージャ・ソレノイド・バルブ制御デューティ値が55%以上の時に『ターボチャージャ・アクチュエータの実リフト量と目標リフトとの差が2mm超えを3秒継続した場合』、または、ターボチャージャ・ソレノイド・バルブ制御デューティ値20%以下の時に『ターボチャージャ・アクチュエータの実リフト量と目標リフトとの差が−6.2mm未満を3秒継続した場合』となっている。
この車のターボチャージャはバキュームポンプで作られた負圧によってターボチャージャのブースト圧をコントロールする仕組みを採用している。
スキャンツールでデータモニタを見ると、VGターボアクチュエータの目標値が20%に対して実測値が約90%になっている。
VGターボアクチュエータのバキュームホースを外して負圧を確認したが、負圧が来ていない。
VGターボアクチュエータにハンディバキュームポンプで直接負圧をかけると実測値が90%近くまで変化したのでVGターボアクチュエータは正常と判断。
次にバキュームチャンバに負圧をかけてみたが、負圧を保持しなかった。
バキュームチャンバにつながっているバキュームホースをふさいでみると、VGターボアクチュエータの実測値が90%になった。
この結果によりバキュームチャンバの気密不良(漏れ)という判断になったわけだが、このバキュームチャンバというのはシリンダヘッドカバーに内蔵されているのだった。
個人の勝手な思い込みだが、シリンダヘッドカバーの中はカムシャフトが入るための場所、と思っていたので、シリンダヘッドカバーにバキュームチャンバが内蔵されているというのは少し不思議な感じがした。
依頼があった工場にシリンダヘッドカバーの交換が必要であることを伝えて返車した。
《技術相談窓口》
|