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平成14年11月
ガソリン・エンジンの3要素 パート3(良い圧縮編)

 今月は、ガソリン・エンジンの3要素の最後である「よい圧縮」に関するトラブル事例を紹介する。


[事例1]
 平成2年式プリメーラ(車両型式E−HP10、エンジン型式SR20DE)。
 オーバーヒート後にエンジンが掛かりにくくなり、始動できてもエンジンが安定せずにエンストするというトラブル。
 クランキング時やアイドル時に、かなりの振動を伴うことより、1・2気筒がミスしているのではと思い、各シリンダで火花点検、インジェクタの作動音を点検した。しかし、特に悪いシリンダはなかった。
 次に、基本点検の残りである圧縮圧力を測定すると、1番、4番が約8kg/cm
2、2番、3番は約5kg/cm2しかなかった。
 全シリンダの圧縮が低いので、バルブタイミングの狂いも考えられたが、調べてみると問題なかった。
 オーバーヒート後に発生したトラブルであり、それ以前はよかったということなので、原因は修理したことに起因しているようである。
 依頼者の人に、「シリンダヘッドの歪みはどのくらいだったのか」と聞くと、「数ミリだった」という答えが返ってきた。シリンダヘッドを研磨する工場の人に、「それくらいでも研磨できる」と言われたので研磨したそうである。
 確かに、研磨しようと思えば数ミリだろうが、数10ミリだろうが機械的には研磨はできる。しかし、機能的には0.2〜0.3ミリが限度である。
 いくらヘッド面が平らになろうと、シリンダヘッド自体が歪んでいることには変わりなく、当然バルブシートも歪んでいるので、バルブとの当たりが悪くなり、圧縮洩れの可能性がでてくる。その影響を最も受けやすいのはヘッドの中央部分であり、このエンジンの2番、3番シリンダの圧縮が低いことからもそれが証明される。
 また、カムシャフトの取り付け面も歪んだままであり、当然、カムシャフトも曲がったまま回転することになる。そうすれば余分な負荷もかかるし、タイミングベルトの寿命も短くなる。ひどい場合は焼き付くおそれもでてくる。
 OHVエンジンであれば、多少の歪みは問題なかったが、ほとんどのエンジンがOHCエンジンとなった現在、限度値を超えたものは当然だが、それ以下のものでも交換することが望ましいのではないだろうか。


[事例2]
 車は平成7年式プレセア(車両型式E−PR11、エンジン型式SR18DE)エンジン始動不能といったトラブル。
 基本点検である、ダイアグノーシス、火花点検、燃圧点検、インジェクタの作動点検、圧縮圧力の点検をした結果、圧縮に問題があり、全シリンダ共に圧縮圧力が5〜6kg/cm
2しかなかった。
 バルブタイミングを点検するために、タペットカバーを開けてみると、オイルメンテが悪いらしく、かなりのスラッジが付着していた。カムシャフトのカム部分をみるとかなり磨耗している。このエンジンには、ラッシュアジャスタを使用しているため、カムが磨耗するとオーバーラップが大きくなりエンジン不調の原因となる。
 バルブタイミングはというと、タイミングチェーンを使用しているのだが、ガイド部分がかなり磨耗しており、チェーンが緩んでタイミングがずれていた。
 オイルメンテが悪くてこうなったエンジンである、目に見える悪いところだけを修理しても、目に見えない各部のダメージも当然考えられる。ASSY交換をするように勧めた。

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