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平成14年12月
パワー不足の原因はA/Tの変速不能

 Dレンジでの発進時に、パワー不足を訴える、96年式のセドリック(E-PY33、エンジン型式VG30E、走行距離9万3千km)のトラブル事例を紹介する。
 走行テストを行ってみると、停車状態から60km/Hになる間に、一度も変速ショックが感じられず、オーバードライブも作用していない事が判った。
 この車に搭載されているオートマチック・トランスミッション(RE4R01A型)は、1速からオーバードライブまでの変速を、2つのソレノイドバルブへのON・OFFの組み合わせでおこなう。電子制御式である。(図1参照)
図1.シフトソレノイドへの通電状態と変速の組み合わせ

 変速の基となる「車速」と「エンジン負荷」は、車速センサとスロットルセンサで検出して、コンピュータにプログラムされたマップによって、シフトアップやシフトダウンを行うようになっている。
 したがって、これらのセンサおよびアクチェータに異常が生じた場合は、正しい変速制御ができなくなってしまう。
 このような事態に備えて、最低限の走行ができるようにするため、フェイルセーフ機能が組み込まれている。
 フェイルセーフモードになっているかどうかの確認は、A/Tモードスイッチに設けられている「POWER」ランプが図2のように、イグニッションスイッチをONにした直後、点滅するか否かで行える。
 他メーカーのように、メーターパネル内にランプがあれば気がつくと思うが、スイッチ部分にランプがあるので見落しやすい。

■キーON時のインジケーターランプ表示

・ユーザーが使用中にスロットルセンサー、車速センサー及びソレノイド系に異常が発生した場合は、キーをON位置にするとA/Tモード・インジゲーターランプが右図B部のように2Hzで8秒間点滅し異常を知らせる。
・異常がない場合は右図A部のように2秒間点灯し、バルブチェックを行う


図2.システムの異常の有無を表示するランプの様子

 イグニッションスイッチをONにしてみると、2秒間点灯した後2HZ周期で8秒間点滅しており、まちがいなくシステムに異常が発生している。
 どの部分に異常があるのかを調べるためには、自己診断機能を活用すればよい。
 図3に示す手順に沿って調べてみると、『シフトソレノイドB』が異常である事が判明した。
 シフトソレノイドBが機能しない場合は、図1で判るように、3速固定になってしまう。
 トランスミッション部分のカプラを外してシフトソレノイドBの回路を調べてみると、断線している事が確認できた。
 ソレノイドバルブの交換は、トランスミッションを脱着することなく、オイルパンを外して、ソレノイドバルブが取り付けられている、コントロールバルブのみ脱着すれば可能である。(図4)

図4.シフトソレノイドバルブ(右)とコントロールバルブへの取付状態

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訂正のお知らせ
 先月号の「実践!整備事例
平成14年11月」で紹介したプリメーラのエンジン型式は、GA15DEではなく、SR20DEの誤りでした。訂正して、お詫びします。
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