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2006年6月
アクセル・ワイヤが無い
ディーゼル・エンジンのトラブル
 アクセル・ペダルを踏んでも、まったくエンジンが吹き上がらない事があると云う、'03年式の日産のADバン(KJ-VEY11、エンジン型式YD22、走行距離9万km)のトラブル事例。
  ユーザーの話によると、その不具合が発生した時には、エンジン警告灯が点灯したとの事である。
  故障診断をおこなう上で貴重な手掛りになりそうなので、早速DTC(ダイアグノーシス・トラブル・コード)を調べてみたところ、「0403」を表示した。
  このDTCは、アクセル・センサー信号系の異常を示すもので、アクセル・ペダルの踏み加減を検出するための信号回路が、過去において機能していなかった事を意味している。
  YD22型エンジンはディーゼル・エンジンで、噴射ポンプが電子制御化されており、ガバナの働きをコントロールするのは、アクセル・ワイヤではなく、前述のアクセル開度を検出したECUが、ポンプ内部のアクチェータを電気的に制御する仕組になっている。(図1参照)
  近年、ガソリン・エンジンもアクセル・ワイヤが姿を消しつつあり、スロットル・バルブはDCモーターによってコントロールされるようになってきたが、ディーゼル・エンジンの方が一足先に電子制御化されている。
  アクセル・センサーは、文字どおりアクセル・ペダル部分に取り付けられており、ドライバーが踏んだペダルの動きを電圧変化に置き換えて、ECUに入力するものである。(図2参照)
  内部の回路は、ガソリン・エンジンの場合のスロットル・ポジション・センサーと同様で、ペダルの開度に比例してリニアに電圧が変化するようになっている。
  現時点では正常に電圧変化しており、エンジンもスムーズに吹き上がる。
  センサー回路のコネクタやワイヤハーネスをゆすってみても、電圧が変動する事はないので、センサー内部で一過性の異常を起こしたものと思われる。
  ここまでの経緯をディーラーに説明して、DTCの確認をしてもらった結果、保証修理でアクセルセンサー(アクセル・ペダルAssy)を取り替えてくれた。
  このあとにも、年式が2年古い同一型式車が同様の不具合で入庫し、原因も同じであった。
《技術相談窓口》
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