実践!整備事例一覧 > 整備事例  

Page 12
2009年9月
パワーウィンドのリセット作業

 トヨタの車でバッテリが上がってから、運転席窓ガラスが全閉しなくなり、運転席のマスタースイッチで運転席以外のパワーウィンドの操作ができなくなったという電話相談。
  最近の車には、挟み込み防止機構が忖いており、窓ガラスをオートで上げている時に何かを挟み込んだ場合、強制的に5cmほどダウンさせるようになっている。
  この挟み込み防止機構というのは、パワーウィンドモーターの回転速度をモニターしており、何かを挟み込んだ場合、モーターの回転速度が遅くなることにより何かを挟み込んだと判断し、システムが作動するようになっている。(図1)
  ただし、ガラスが全閉した時もモーターの回転速度は遅くなるわけだが、その時に挟み込み防止機構が働かないように、全閉位置を記憶させている。
  よって、バッテリが上がったり、バッテリ交換のため端子を外したりすると、この全閉位置の記憶がなくなってしまう。
  また、パワーウィンドスイッチのコネクタを外した時、レギュレータ、パワーウィンドモーターを交換した時にも同じことが言える。
  記憶がなくなった状態でオートアップすると、全閉時、挟み込み防止機構が働き5cmほどダウンしてしまう。
  この症状が出た場合には、ユニットに全閉位置を記憶させる必要があるが、そのリセット方法は図2に示す。
  また、この挟み込み防止機構は、当初、運転席だけのシステムであったが、現在では全席に装着されている車が多い。
  この場合は、全部の窓ガラスでのリセット作業が必要になる。
  リセット作業を行わないと、運転席側のガラスが全閉しないと同時に、マスタースイッチにより他の窓ガラスの操作が出来なくなる。
  運転席以外のリセット作業は、その座席のスイッチでのリセット作業が必要である。その方法は運転席と同じである。
  このバッテリ上がりやバッテリ交換時のリセット作業は、トヨタ車に限らずどのメーカーでも同じようである。
  また、少し古いタイプの場合は、モーター内に全閉位置を検出しているリミットスイッチというものがあり、ガラス全閉近くでスイッチはONし、その状態でモーターの回転速度が遅くなった場合は挟み込み防止機構は働かないようになっている。
  そのため、パワーウィンドレギュレータからパワーウィンドモーターなどを切り離した場合、リミッドスイッチのリセット作業が必要になってくる。その方法は図3に示す。どちらのタイプかは外観上では判断出来ないので、この挟み込み防止機構が働いた場合は、図2のリセット作業か図3のリセット作業のどちらかを、もしくは両方を行う必要がある。
  参考までに、日産の車のモーター等の脱着時のリセット作業を図4で紹介する。(車種によりリセットスイッチのあるタイプと無いタイプの2つがある)

 
1 / 2

実践!整備事例一覧 > 整備事例
UP