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2010年1月
ダイアグが正常で始動できない
(燃料ポンプ交換時の注意点)

エンジンがかからない時があるという、平成14年式bB(車両型式TA-NCP30、エンジン型式1NZ-FE)のトラブル事例を紹介する。

不具合が出るのは、朝一番が多いという。

ダイアグノーシスを点検すると、異常コードの記憶はなく、正常コードを表示した。

ダイアグノーシスで異常コードの表示がなく、始動不能の場合は燃料ポンプが最も疑われる。

燃圧測定のための燃圧計と燃料ポンプの通電状態を調べるためのサーキットテスタをセットして、不具合の発生に備えておいた。

翌日、始動前の燃圧を確認すると約1kg/cm2だった。クランキングすると、サーキットテスタは約12Vだったが始動できなかった。燃圧計を見るとほぼ0kg/cm2である。

念のため、電流を測定すると約5.5Aの電流が流れていた。

このことから燃料ポンプがロックしているものと推定された。燃料ポンプを交換すれば完治するはずである。

トヨタの燃料ポンプでは、過去に何度か間違った組み方でトラブルを作った工場もあったので、それらについての注意点を紹介する。

まず、燃料ポンプを交換する場合は、ポンプ以外にも燃料フィルタ、ストレーナ、ストレーナを固定するリングも同時に注文し交換して欲しい。(ストレーナを固定するリングは、取る時にかなり変形させてしまうので再使用が難しい)

出来れば、フューエルポンプフィルタシールやプレッシャーレギュレータやカットオフバルブのOリングも交換が望ましい。(図1)

また、フューエルポンプフィルタシールを再使用する場合、ポンプをフィルタから外した時に、フィルタ側にこのシールが残ってしまうケースがある。

このことに気が付かないまま、シール無しの状態でフィルタにポンプを組み付けて、「ポンプを交換したが燃圧が上がらない」という相談を受けたことがある。

よって、シールを注文していれば問題ないが、再使用する場合は、残ったシールを取らなければならない。この場合はSSTが必要である。

SSTといっても購入する必要はなく、図2のように針金や溶接棒を加工し自作すればよい。

もしくは、何度かポンプをフィルタに差し込んだり抜いたりすると、ポンプにシールがついたまま抜けることがあるので、試してみるのも1つの手である。

《技術相談窓口》
 
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