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2010年2月
修理書にも記載されていない方法

新品のトランスミッターの登録ができないという、平成10年式(車両型式GF・VZN185W、原動機型式5VZ)トヨタハイラックスサーフのトラブル事例を紹介する。

先方が行ったという登録方法と、当会にある修理書を確認してみると、確かに登録方法に間違いはない。

登録作業は難しいものではなく、識別コード登録の作業モードの選択→識別コードの登録を、キーSWとドアコントロールSW、及びトランスミッターを使用して行うというもの。(作業手順参照

識別コード登録の作業モード選択が正常に完了した時点で作業者に合図をするシステムになっており、その合図は確認できているという。

後は新しいトランスミッターから信号を送り、登録作業が完了するはずなのだが、なぜか登録が完了していないという合図がでるらしい。

新しいトランスミッターから信号を送る方法は、作業手順にある通り、「トランスミッターのスイッチを1秒以上押し、再度、トランスミッターのいずれかのスイッチを1秒以上押す」だけなので、どう考えても間違えるとは思えない。

新品のトランスミッターが悪いのであろうか?とも考えたが、最後の登録作業で信号を送った直後に、登録が完了していないという合図が出ることから、新品のトランスミッターからの信号は出力されていると思われる。

残るは、トランスミッターの登録を司るコンピュータしかないということになるが、どうも腑に落ちない。

コンピュータを交換する前に、一度ディーラーの診断機にて登録作業が行えないか相談してみるよう伝えた。

数日後連絡があり、年式が古いためディーラーの診断機でもトランスミッターの登録作業には対応していないとのことであった。

しかし、ディーラーからメーカーに確認したところ、トランスミッターの登録作業が2パターン存在することが判明したという。

トランスミッターのボタンが、ロック、アンロック、バックドアの3つのボタンのタイプと、ロック/アンロック、バックドアの2つのボタンのタイプでは、最後の登録作業が若干異なるのである。

2つのボタンのタイプであれば、作業手順と同じ方法でよいのだが、相談を受けた車両は3つのボタンのタイプであったため、トランスミッターの登録作業が以下の通りにする必要があった。

「ロック、アンロックの2つのスイッチを同時に1秒以上押し、再度、トランスミッターのいずれかのスイッチを1秒以上押す」

このように登録作業を行なってみたところ、正常に登録作業が完了したという連絡を受けた。

修理書にも記載されていない方法のため、危うくコンピュータの交換を勧めるところであったが、事なきを得た。

同タイプのトランスミッターの登録を行う場合には注意して欲しい。

《技術相談窓口》
 
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