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2012年12月
ヘッドランプの光軸が下向きになり過ぎて…

夜間平坦な路面を走っている時は良いが、段差を乗り越えたりしたあとにメーターパネル内の黄色いランプが点灯して、ヘッドランプが手前の方しか照らさなくなって運転しづらいという、2003年式のクラウン(GH-JZS171、エンジン型式1JZ-FSE)のトラブル事例を紹介する。

黄色いランプの正体は、図1に示す「ヘッドランプ・レベリング・ウォーニングランプ」である。

これは、保安基準第32条の中にある〔前照灯照射方向調節装置〕の機能に異常があることを意味するものである。

この装置は、2006年以降に新しく製造される自動車に適用される装置であるが、自動車メーカーは前倒しで採用するのが一般的である。

目的は、乗員や積み荷による車輌姿勢の変化によってヘッドランプの光軸が上下することで、対向車や前走行車への幻惑を防止するためである。(図2参照)

ヘッドランプがハロゲン電球の場合は手動ダイヤルによる調節装置が、ディスチャージ電球の場合は自動調節式になっており、この車は後者の方なので、前述のウォーニングランプが存在する訳である。

システムは図3のとおりで、車輌姿勢の変化を検出するセンサーと、その信号を基に光軸調整代を演算するレベリング・コンピューターがヘッドランプ内のアクチュエーターのモーターを動かすことでおこなっている。

路面の段差を乗り越えた時に不具合が発生するということから考えると、ハイトコントロールセンサーが大きく動いた際に、信号が正しく入力されていない可能性があるので、センサー取り付け部の一端を外して手で動かしてみると、時々信号電圧が大きく変動して基準を超えることが確認できた。

これによって、コンピューターが異常を検出してフェィルセーフ機能が働いて、光軸を最も下向きになるように制御したものである。

ハイトコントロールセンサーを取り換えることで不具合は解消したが、さまざまな安全装置や便利機能が装着されてくると、いままでは考えも及ばないような不具合を訴えてくるので、日々の情報収集は怠れない。《技術相談窓口》


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