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2014年10月
分解作業前の確認を怠りなく…

メーターパネル内の、「AFS/OFF」インジケータランプが点滅するようになった、平成16年式のクラウン(UAGRS182、エンジン型式3GR、走行距離15万km)のトラブル事例を紹介する。

「AFS」とは、アダプティブ・フロントライト・システムの略で、和訳すると「配光可変型前照灯」のことである。(図1参照)

ヘッドライトの照射方向をハンドルの舵角によって左右に動かすことで、カーブ内側の視界を確保しようとするものである。

したがって、前述のランプが点滅するということは、この装置のどこかに異常があることを示している。

スキャンツールを使って調べたところ、図2に示す3つのDTCを表示した。

この装置の基本システムである、オートレベリングシステムに追加されたものがAFSなので、共通するセンサやアクチェータが含まれるので、複数のDTCを表示する場合があるし、過去に消去し忘れていることもあるため、一度メモリー消去して再度確認すると、「B2416」(ハイトコントロール・センサ異常)だけが表示されるようになった。

現在不具合が発生しているのは、このセンサ系統だけということになる。

このランプが点滅するようになった前後のことを問診してみると、ショックアブソーバの交換をおこなった後であることが判明したので、後輪左側に装着されているハイトコントロール・センサの取り付け状態を確認したところ、本来とは異なる角度になっていることがわかった。

図3に示すとおり、センサに対してロッドが逆向きに収まっていた訳である。

こうなると車高の変化に対して正反対の信号電圧が出力されてしまうので、コンピュータは異常と認識して、警告するのである。

正しい位置に取り付け直して、DTCメモリーを消去すると警告灯の点滅もなくなった。

サーペンタイン式の補機ベルトが出始めの頃、これを交換して組み付ける際に「ベルトの長さが余るとか、足りない…」という問い合わせがあったが、取り外す前の状態を記憶するのではなく、しっかりと「記録」しておくことが大切である。

デジタルカメラや携帯端末機器が普及した現在社会では、簡単に記録することが可能なので、少しの手間を惜しんで無駄な時間を費やすようなことは避けたいものである。

《技術相談窓口》

インテリジェントAFS(Adaptive Front-Lighting System)
●あらゆる走行状況に応じて最適な配光を提供するインテリジェントAFS を採用しました。
●車速やステアリング舵角に応じて、追加光源(ベンディングランプ)の照射方向を変化させることで、交差点や曲路での前方視認性を向上させます。


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