実践!整備事例一覧 > 整備事例  

Page 1
2015年11月
トランスアクスルからの異音

トランスアクスルからガラガラと異音が発生するという、平成21年式プリウス(車両型式DAA-ZVW30、エンジン型式2ZR-FXE、モーター型式3JM)のトラブル事例を紹介する。

ユーザーから「異音が発生し、エンジンの調子も悪い」ということで入庫した車両。

異音を確認したところ、どうもトランスアクスルから発生している摸様。

30型プリウスは、バッテリーを長時間外したりした場合に、トランスアクスルから「ガラガラ」と異音が発生することがある。

このようなトランスアクスルからの異音に関しては修理書に対処方法が記載されている。

暖機後のアイドリング中にデータモニタをおこない、「ISC学習」が「完了」となっているかを外部診断機で確認し、「未完了」であれば「ISC学習」を実施することで異音が解消する場合がある。(参考資料参照)

データモニタしたところ、ISC学習は未完了であった。このため、ISC学習を実施してみたが、何度おこなっても完了しない。

エンジン自体の調子も良くないことから、まず先にエンジン不調の原因を特定することとした。

暖機後のアイドリング中にエンジンのデータモニタをおこなったところ、気になる項目を2つ発見できた。

大気圧力センサの値(83kPa)と吸気管絶対圧の値(94kPa)がどうもおかしい。大気の圧力は約101kPaなので、ずいぶんと低い。

また、吸気管絶対圧はアイドリング中であれば約35kPa程が正常と思われる。大気圧力センサは回路図上に存在せず点検できないため、吸気管絶対圧が高すぎる原因を探すこととした。

まず排気ガスを測定したところ、数値は大きく振れていたが、COが1%以上、HCが100ppm以上は平均して排出されている。

次にパワーバランステストをアクティブテストにておこなったが、特定のシリンダの不具合ということではないようだ。

特定のシリンダの不調ではなく、排気ガス濃度が高いうえ、吸気管絶対圧が高いとなると、EGRの閉じ不良が疑われる。(Lジェトロの場合)

そこで、EGR通路をカットしてみたところ、エンジン不調は解消され、吸気管絶対圧も正常と思える数値に変化し、トランスアクスルからの異音も解消された。

また、EGRバルブが無償修理の対象となっていることも後に判明した。この状態でISC学習をおこなってみたのだが、何故か学習が完了しない。

依頼者が当会に入庫する際、「異音があまりにもひどいので、EVモードで走行してきた」と言っていたので、バッテリー容量等も学習に関係しているのかもしれない。

まずはEGRバルブを交換して、ISC学習をおこなってみるよう説明し作業を終えた。

後日連絡があり、デーラーで部品を交換してもらったところ、EGRバルブがほぼ全開で固着していたそうだ。

最終確認のためにデータモニタをおこなうと、ISC学習は完了となっており、大気圧力センサの値も101kPaになっていたとのこと。

大気圧力センサについては推測になるが、回路図上に存在しなかったのは、ECUの推測値を表示しているからではないかと思われる。

30型プリウスでトランスアクスルから異音が発生している場合は、是非今回の事例を参考にしてほしい。

《技術相談窓口》

 

[参考資料]

ハイブリッド/バッテリーコントロール ハイブリッドコントロール

システムハイブリッドビークルトランスミッションからの異音

[機能説明]

補機バッテリの取り外し、およびマイナスターミナル切り離しを伴う作業を実施した時に、ISC学習値が初期化され、学習を実施するまで「ハイブリッドビークルトランスアクスルASSYからガラガラ音がする」等の現象が起こる場合がある。

よって、上記作業を実施した場合は、ISCの学習を実施する。

 

1.初期化(ISC学習)

a.整備モードを実施する。

b.外部診断機を使用して、以下のメニュー項目を選択する。

  項目名:エンジン冷却水温

c.READY ON状態でECUデータモニターのエンジン冷却水温が70℃以上になるまで暖機する。

d.IG OFFにし、再度READY ONにする。

e.ECUデータモニターのエンジン冷却水温が70℃以上あることを確認する。

f.シフトポジションPの状態でアクセルペダルを軽く踏みエンジンを始動させる。

g.エンジンが停止するまで待つ。

参考:通常1分以内でエンジンが停止する。但し、SOCが低いと3分程度エンジンが停止しない場合がある。

h.外部診断機を使用して、以下のメニュー項目を選択する。

i.ECUデータモニター“ISC学習完了”を確認する。


実践!整備事例一覧 > 整備事例
UP