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2019年3月
センサ内部故障でエンジン始動不良

クランキングしても、なかなかエンジンが始動できない事があるという、平成28年式のトヨタ・ピクシス・メガ(DBA-LA700S、エンジン型式KF)のトラブル事例を紹介する。

型式からわかるように、ダイハツ・ウェイクのOEM車である。

基本点検の結果、点火火花とフューエル・インジェクタの作動が、途切れる事が確認できた。

DTCを調べたところ、「P0335」と「P1604」の二つを検出していた。

「P0335」は、クランク角センサ信号系異常を示すもので、「P1604」は、エンジン始動異常を表している。

クランク角センサは、過去にリコールがあったのでメーカーのホームページにアクセスして調べてみたが、今回の車はその対象外であった。(図1参照)

クランク角センサの信号を波形観測するために、プローブを接続してイグニッション・スイッチをONにした直後、クランクシャフトが停止しているにもかかわらず、信号が不規則に発生していた。

ノイズではなく、あきらかに信号電圧が変化していた。

エンジンからセンサを取り外して点検してみると、内部からカタカタ音が出ている事に気付いた。

その状態で波形を調べると、センサを揺すった時に信号電圧に変化がみられた。

推測ではあるが、図2に示すセンサ内部のマグネット(磁石)が破損して、中で振動することによって、コイルに間違った電圧が発生しているものと思われる。

この事で、カムポジション・センサとの位相が狂ったために不具合が発生したもので、それを受けて「P1604」のDTCを結果的に表示したものである。

したがって、クランク角センサを交換する事によって、二つのDTCは消去できる。

センサを分解して内部の様子を調べてみたかったが、保証整備の対象になるので、そのままにしておいた。

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