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2019年8月
永久に壊れないものはないのに…

【事例1】

走行中にエンジンチェックランプが点灯することがあり、その時はTRC、VSCランプも点灯するという、平成18年式ハリアー(車両型式DBA-GSU30、エンジン型式2GR、A/T)のトラブル事例を紹介する。

DTCを調べると、「P0712」(油温セ ンサLo異常)を記憶していたようで、 油温センサはエンジンのどこに付いているのか?という相談。

修理書を調べると、トランスミッショ ンの油温センサのようで、センサ本体の不良の場合は、トランスミッション・ハーネスの交換が必要とあった。

油温センサは、トランスミッション・ ハーネスの途中に設定されており、ハーネスと一体という認識のようだ。(図1 参照)

油温センサの交換をしたいだけなのに、トランスミッション・ハーネスの交換とは…。

 

【事例2】

走行中、メーター内に歯車のようなマークが点灯するという、平成21年式ワゴンR(車両型式DBA-MH23S、エンジン型式K6A、CVT)のトラブル事例を紹介する。

DTCを調べると、「P0713」(油温センサHi異常)を記憶していた。

修理書を調べると、油温センサ本体の不良の場合は、CVT・ASSYの交換が必要とあったが、そんなことがあるのか?という相談。

ファイネスを使用して点検手順を確認すると、確かに油温センサ本体が不良という判断になった場合、CVT本体の交換となっている。

油温センサは、トランスミッション・ ハーネスの途中に設定されており、ハー ネスと一体だが、ハーネスの供給部品設定が無いためにCVT本体の交換になるということのようだ。(図2参照)

警告灯が点灯しても特に不具合も感じず、かといって不具合を解消するためにはCVT本体の交換という高額請求をせねばならず、どうしたものかと考えていたらしい。

今回の事例2件はいずれも油温センサ本体の不良のようで、部品の交換が必要であった。

しかしながら、先に述べたようにどちらも油温センサの単体部品設定が無く、 トランスミッション・ハーネスもしくは、CVT・ASSYの交換をしなければならない。

正直なところ他に打つ手がなく、修理書に従って指示通りの部品を交換するしかない。

なぜこのような設定になっているのかは製造したメーカーにしかわからないだろうが、温度センサという決して単価の高くない部品を交換するために、ユーザーに多額の負担を求める設定は何とかならないのだろうか。

電子制御が高度化する中、ある部品が壊れた場合に、○○ASSY交換というケースが増えているように感じる。

永久に壊れない部品であればそれでも良いのかもしれないが、現実には壊れない部品などはない。

コスト削減等で製造メーカーも苦心していることは理解できるが、一方で、もう少しユーザーにやさしい車作りをお願いしたいと感じた相談であった。

《技術相談窓口》


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