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2005年7月
「O2センサ信号系異常」のトラブル Part 2
 今月は、先月号でも紹介した「O2センサ信号系異常」と同じ症状のトラブル事例を紹介する。
 車は平成12年式プラッツ(車両型式GH-NCP12、エンジン型式1NZ-FE)で、高速道路を走行中にチェックエンジンランプが点灯したということで入庫。チェックエンジンランプ点灯時、特に不具合は感じなかったという。
 外部診断器を接続してダイアグノーシスを調べると、コード「P0171」(O2センサリーン異常)を表示した。
 先月号でも紹介したが、このコードを表示した場合は、原因がO2センサ自体にある場合もあるし、各信号の不良、インジェクタの詰まりなどその原因が多岐に及ぶため、安易にO2センサを交換すべきではない。
 まず、制御状態を見るために、外部診断器をデータモニタ画面にして、空燃比の状態を調べた。すると先月のトラブル車同様、A/F学習値がプラス23%まで増量側になっていた。
 この車もインジェクタの詰まりかもしれないと思い、洗浄するためにインジェクタを外して先端部の汚れを見たが、そんなに激しく汚れてはいなかった。
 インジェクタ・クリーナに浸して汚れを取り除き、再度、制御状態をモニターすると、A/F学習値はプラス14%まで改善されたが、まだ完全とは言えなかった。
 今度は、O2センサの信号をモニターしながら走行すると、通常の市内走行では、0.5Vを中心にリッチ(濃い)、リーン(薄い)を繰り返すフィードバックを行っていたが、急加速時や上り坂ではリーン状態を示す、ほぼ0Vのままだった。
 通常、急加速時や上り坂ではリッチ側の約1Vを出力しないといけないはずである。このリーン状態が90秒以上続けばO2センサ系の信号異常となり、チェックエンジンランプが点灯するはずである。
 次に、O2センサ自体の点検をするために、エンジン回転を2,500rpmに保ち、フィードバックを行っている状態で、可燃性のスプレーを吸わせると、O2センサの出力はリッチ側の1V固定となった。とりあえずO2センサは悪くはないようである。
 学習値がプラス側(増量していることを示す)ということは、それだけ空燃比が薄いということなので、その可能性のあるエア吸いや燃圧、スロットルセンサなどを調べたが特に問題はなかった。

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