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【事例2】

 車は平成14年式フィット(車両型式DBA−GD1)で、フロントハブベアリングを交換したら、ABS警告灯が点灯するようになったという事例。
 ダイアグノーシスを点検すると、交換したフロント左のスピードセンサー系統の不良を出力したが、センサー自体は悪くなかった。
修理書で調べてみると、ハブベアリングには、スピードセンサー用エンコーダが組み込まれており、組み付けの方向性があることがわかった。(図2)
 それを逆に組んだことにより、信号が出力されていなかったようである。
 従来のスピードセンサーは、ピックアップコイル式と呼ばれるもので、回転部に凹凸があるロータが設けられていたが、最近ではこのフィットのようにホール素子式のスピードセンサーを使っている車が増えている。
 実際に、このハブベアリングを見ると、見た目にはサイドのシール部の色が黒と茶色という違い以外はわからない。
 しかし、茶色の方は磁石を組み込んだエンコーダであり、こちらをスピードセンサー側に向けて組み付けないと信号は発生しない。
 見分け方としては、金属を側面のシール部に接触させて、磁力によりくっつけばエンコーダ側ということになる。(写真1)
 なお、このエンコーダ側には、磁力を帯びた工具(先端が磁力を帯びたドライバー等)等を近づけてはいけない。エンコーダ側が磁化される恐れがあるからである。


図2
 外したホイール ベアリング(A)を新品のホイール ベアリング(B)の上に置き、鉄板(C)、専用工具、プレス機を使用して、ベアリングをナックル(D)に圧入する。

【アドバイス】
●組立て前に、ナックル圧入部内面を洗浄しておく。
●ホイール べアリングの圧入方向に注意する。エンコーダ(茶色)が取付けられたハブ ベアリング イン サイド シール(E)側をナックル側にして圧入する。
●エンコーダ表面に油脂、ゴミ、ホコリの付着がないこと。
●エンコーダ表面に磁性をおびた工具などを近づけないこと。
●圧入時、エンコーダ表面を傷つけないこと。
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