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2005年1月
個々での判断ではなく総合的な判断が必要
 時々、エンジンが始動不能になるという平成5年式ロードスター(車両型式E−NA6CE、エンジン型式B6)のトラブル事例を紹介する。
 この車は事前に「火花が飛ばないのでイグナイタの点検方法を教えて欲しい。」といった問い合わせがあった車である。
 各研修でも言っているが、現在の車は火花が飛ばないからといって、イグナイタやイグニッションコイルを点検したり交換するのは間違いである。基本点検を全て行い、その結果から総合的に判断をすべきである。
 まず、基本点検である火花点検、インジェクタの作動音を点検したが、エンジンがかからない時はどちらも不良だった。
 次にダイアグノーシスの点検をしようとしたが、ダイアグノーシスコネクタにFEN端子が見当たらない。通常、マツダ車のダイアグノーシスの点検は、TEN端子とGND端子を短絡し、サーキットテスタの側リード棒をバッテリの端子に、側リード棒をFEN端子に接続する。そして、サーキットテスタの針の振れでダイアグノーシスコードを読み取らなければならないのに、そのFEN端子がダイアグノーシスコネクタ内に無いのである。図1
 もしかしてコンビネーションメータ内にチェックエンジンランプがあり、その点滅回数でコードを読み取るのかと思ってメータを見たがそれらしきランプは無かった。
 火花とインジェクタの作動が不良ということは、ダイアグノーシスで手掛かりとなる異常コードを出力する可能性があるので、ECUの端子でダイアグノーシスを調べることにした。
 しかし、異常コードの表示はなく正常コードを出力した。
 ダイアグノーシスで正常コードを出力し、火花が飛ばず、インジェクタも作動しないとなるとECU系(ECU本体、ECUの電源およびアース)が怪しいということになる。
 ECUの電源は、ダイアグノーシスコネクタの+B端子にも来ているのでサーキットテスタをセットしておいて、基本点検で点検していない燃圧を点検することにした。
 燃圧点検といっても、今回は火花もインジェクタも不良なので、圧力を点検する必要はなくフューエルポンプが作動しているかだけを音で確認することにした。
 フューエルタンクのキャップを開け依頼者にクランキングしてもらうと、ポンプの作動音は聞こえずエンジンはかからなかった。
 もう一度クランキングをしてもらいサーキットテスタの電圧を見るとほぼ0Vだった。
 キースイッチをONにして電圧をみるとほぼバッテリ電圧である。そのままクランキングすると0Vになった。
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